Home > 業種ごとのBIM活用/事例 > 教育 > 東京工芸大学 工学部 建築学科

事例:東京工芸大学 工学部 建築学科

東京工芸大学 工学部 建築学科/教育事例

大学界の CAD 教育をリードする工芸大が 社会の要請に応え、CAD ツールを一新! AutoCAD & Autodesk Revit Architecture による 高度かつ実践的なカリキュラムを開始

東京工芸大学はその名の通り「芸術」と「工学」を 2 本柱に、両者の融合を目指す独自の展開で知られる私立大学である。80 有余年に及ぶ歴史と伝統を備え、わが国では数少ない写真学科や本邦初のアニメーション学科を開設するなど、時代の風を捉えた展開には定評がある。この姿勢は、たとえば同学工学部の建築学科もまた同様で、大学としては最も早くから CAD 教育をカリキュラムに取り入れ、3 次元 CAD による 3 次元設計教育にもいち早く取り組むなど、CAD 教育については大学界をリードする存在である。

そんな同学では 2010 年より 2D/3D とも学習用 CAD を一新。「AutoCAD」と「Autodesk Revit Architecture」を導入し、新たな CAD 講座をスタートさせた。この新講座の背景と狙いについて、同講座の担当講師である鍛氏、森谷氏、江藤氏の 3 氏に話を伺った。

1 回 7 時間・総計 49 時間に及ぶ授業で AutoCAD & Revit を集中的に学ぶ

東京工芸大学
工学部 建築学科
工学博士 鍛 佳代子 氏

東京工芸大学 工学部 建築学科 工学博士 鍛 佳代子 氏

「なぜ今回 CAD をオートデスク製品に一新したのかといえば、それが今いちばん社会で使われている CAD だからです。建築の世界で何かを表現しようとすれば、CAD は絶対に避けて通れません。しかし同時に、それはツールに過ぎないともいえます。そうであるなら、学生にとって将来確実に役立つ CAD を使うべきでしょう。また、建築界の近年の動きとして見逃せない BIM の流れからも、Revit による教育は重要でした」(鍛氏)。

このような判断に基づき、2010 年春、同学では CAD 教育用ツールを AutoCAD と Autodesk Revit Architecture に一新。長年積上げてきた CAD 教育の実績とノウハウを踏襲しつつ、新しい CAD 環境による教育をスタートした。

「建築設計製図 IIB」と名付けられたその講座は、建築学科 2 年次の学生 130 人余を対象とする必修科目。週 1 回約 7 時間の授業を 3 カ月で計 7 回、合計約 49 時間行う集中授業で、初心者の学生も AutoCAD と Revit をひと通り使いこなせるところまで育て上げようというのである。全 7 回の内訳は、前半 3 回目で AutoCAD を、以降は Revit の授業という流れで、課題には AutoCAD 用にはあるマンションを、そして Revit 用には安藤忠雄作品である「六甲の教会」が選ばれた。講座テーマは CAD によるデザイン設計手法の修得だが、だからこそまず建築図面を正確に読みとり、空間を正しく把握する力をつけてほしいーー鍛氏らはそう考えたのだ。

講師
江藤久美子 氏

講師 江藤久美子 氏

「最初に各 CAD の機能特徴を解説し、続いて課題を与えて、学生がそれぞれ実際に CAD を使って作って行く、というのが授業の基本的な流れです。ほとんどの学生がこの科目で初めて CAD に触れますし、今回は教える側にとっても新しい CAD なので、約 70 人のクラスを講師、助手合わせて 5 名の体制でサポートしました」(江藤氏)。

だがこうした手厚いサポートを行っても 1 回 7 時間に及ぶ密度の濃い授業で終始学生の集中力を維持するのは容易ではない。練り込んだカリキュラムはもちろん、授業の流れにメリハリを付け強く学生の関心を喚起することが必要だ。そこで教育ツールとして威力を発揮したのが、Revit 等のオートデスク製品だった。

3D 的な空間把握の力を付ける上で 最も効果的に使えるツール

前述の通り、この CAD 教育科目で学生に与えられる課題は既築物件だ。たとえば Revit の課題なら“六甲の教会”の設計図面を与え、写真や建築模型等の資料も用意する。学生は基本的には、この図面から数値をあたり空間を把握し、Revit でモデリングしていくのだ。

「驚かされたのが Revit の取っつきやすさとレスポンスの早さです。モデル作りも、まるでレゴブロックを組むように簡単かつスピーディに行え、3D 初体験の学生にも分かりやすい。学生はごく短期間でこの 3D 設計の手法に馴染めるんです」(鍛氏)。

いまや同科目の受講生は作ったものを即座に Revitで3D モデル化し、これをさまざまな角度から確認する、ということをごく普通に行うようになっているという。

講師
森谷靖彦 氏

講師 森谷靖彦 氏

「Revit の 3D モデルを1度作れば、当然ながら角度や条件を変えて何度でも確認できます。そして、さまざまな角度から建築物を見ることで、新しい発見や気付きも生まれます。3D 空間を把握する力を付ける上で、非常に効果的なツールなのは間違いありません」(森谷氏)

さらに 7 回に渡る授業も終盤になると、教室の空気自体も変わっていった。学生が個々にモデリングしてきた六甲の教会をレンダリングし、仕上げていく終盤でのことだ。

「色付けしてマテリアルを貼り、自分の作ったモデルを現実に近い形で観ると、やはり学生から大きな歓声があがるんですよ。そしてみんな欲が出てくるんでしょうね。いろいろ新しい効果を試すようになる。長期にわたる講座で学生のモチベーションを保つ上でも、Revit の採用は非常に大きな効果があったといえるでしょう」(鍛氏)

こうして多くの成果をあげた「建築設計製図 IIB」は 7 月度で終了。後期は新たに「デザインシミュレーション」の講座が始まる。

厳しさを増す建築法規に増え続ける手間、削られる一方の工期に予算と、建築設計者を取り巻く環境は厳しさを増し続けています。そんななかでの“次の一手”は何なのでしょうか?

「デザインシミュレーションは選択科目ですが、何人が受講してくれるか、今からとても楽しみですね。当然 Revit、AutoCAD による、より高度なデザイン手法の追求がテーマになります。今回の実績や経験を踏まえ、より充実した授業にしたいですね」(鍛氏)


学校概要

学校法人 東京工芸大学学校法人 東京工芸大学 工学部 建築学科
建築学科は、建築デザイン・構造デザイン・環境デザインをバランスよく教育を行い、建築各分野のスペシャリスト養成を目指す。
建築デザインコースでは、人数分の製図版が用意された製図室や Auto CAD/ Autodesk Revit Architectureがインストールされた PC が多数用意された PC 演習室などの設備が用意されている。
工学部学生数/1839 名(2010 年 5 月)

【導入製品/ソリューション】
AutoCAD
Autodesk Revit Architecture

【導入目的】
建築系学科における建築デザイン教育のメインツールとして
CAD アレルギーを撲滅し、建築設計ツールとしての CAD 活用の基礎を学ばせるため
3 次元的な空間把握の力を付けさせるため

【導入ポイント】
日本の建築業界に最も普及したブランドであること
将来の就職活動時、学生が企業から最もニーズの大きい CAD であること
本邦建築業界の BIM の流れの主役であること(Revit)

【導入効果】
3D 的な空間把握の力を学生が自然に修得
3D を活用したデザイン設計の基本を学生がスムーズかつスピーディに修得

【今後の展開】
AutoCAD と Revit を活用したより高度な 3 次元設計の教育カリキュラムの確立
AutoCAD と Revit を核とした 3 次元教育環境の整備

top