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事例:美保テクノス株式会社

美保テクノス株式会社/導入事例

企業戦略でBIM化を推進する地域密着企業。IPDセンター設立でさらなる飛躍を目指す。

美保テクノスメインイメージ

プロジェクトの約95%がBIMを導入

鳥取県米子市を拠点とする「美保テクノス」は、設計・施工・その後の管理まで一貫したサービスを提供する山陰地方最大手のゼネコン。地元での清掃ボランティアやNPO団体への参加など積極的な地域活動を行う地域密着企業でありながら、いち早く実践的なBIMの導入に踏み切るなど、最先端のテクノロジーを駆使する革新的な企業でもあります。

同社がAutodesk Revit Architectureを導入したのは、今から5年前。現在は約95%ものプロジェクトがBIMを前提として進められています。同社の設計室のスタッフはいずれもAutodesk Revit Architectureを使用し、企画からプレゼンテーション用CGの制作、さらには実施設計図面の作成、施工の最終段階に至るまで、一貫してBIMを導入し業務を行っています。

トップダウンの企業戦略でBIM導入を推進

BIMを導入したきっかけ、それは社長の意思による企業戦略のひとつでした。民間からの受注を強化するために、クライアントに"いかに、わかりやすく伝えるか"、"どれだけ説得力のあるプレゼンテーションを行えるか"が最優先事項となりました。どんなにハイセンスな設計であったとしても、2次元の平面である図面によって建物の魅力をクライアントに伝えることは難しい。よって建物をビジュアル化した"CG"を見せる、つまり「3次元による見える化」という手段を得るためBIMの導入に踏み切りました。

同社の技術者の採用条件のひとつとして、設計者自身によるプレゼンテーションを実行するためにAutodesk Revit Architectureの使用スキルが含まれています。これまでは設計者が「図面」、CGオペレーターが「パース」という分業制が通例とされていましたが、Autodesk Revit Architectureで3次元モデルを作成する過程で図面も作成されることで、企画から設計、そしてプレゼンテーションまでを設計者が担当するという、担当者一貫型のプロジェクトが可能となったのです。

基本設計の段階で建築物をビジュアル化することで、建物の細部のデザインまでも早期に承認されるようになり、実施設計の段階では、法規チェックのための情報を書き加える程度で、ほぼ実施図面を書く必要もなくなったといいます。

新田氏

設計室に在籍し積極的にBIM化を推進している新田氏は、BIMの導入メリットを、次のように語っています。
「BIMの導入によって作業効率が格段と進歩し、ひとつのプロジェクトにかかる作業量は、従来の半分程度になりました。一人につき、概ねこれまでの1.5倍から2.0倍の作業量をこなすことが可能になったと思います。そうしたことが、結果的に総合的なコストダウンを実現させたのです」。

BIM導入効果、デザインレビューの徹底で設計者の英知を結集させる

同社では、必ず全プロジェクトにおいてデザインレビューが成されています。これは基本設計から実施設計に入る前、あるいは初回打ち合わせから施主に見せる2、3日前に行われる会議。設計の質を向上させるために、同社にいる設計者が集まり、Autodesk Revit Architectureで作成されたモデルを見ながら設計の質を確認するというもの。意見がでればその場で反映し、品質の向上に努めています。一人の設計者の感覚に頼るのではなく、"設計室全体の意思を反映させて建物を作り上げる"という考え方に基づいて実施されています。

そうした作業を積み重ねることによって、施主の反応、設計者の信頼度、プロジェクトのクオリティー共、格段に向上。また、施主との打ち合わせの場においても3Dを用いているので、これまでと比べて施主の意思決定が格段と早くなり、設計者と施主の双方にとってより手軽な、そして精度の高いデザイン確認が可能になったといいます。

「Autodesk Revit ArchitectureによるCGパースは、実際に完成した物件のイメージをかなり忠実に再現しているので、BIMによる進行を経験した施主は、1回目のプロジェクトに得た信頼感から、二回目以降のプロジェクトの意思決定が格段と早くなる傾向にあります。早くなるということは時間の短縮につながり、つまりはコストの削減に繋がります。」(新田氏)

提案用CG1提案用CG2提案用CG3提案用CG4提案用CG5提案用CG6

新田氏自身により作成された提案用CG。複数パターンを作成した後はメールにて施工主とコミュニケーションをし、1案が採用された。設計士自らが3次元モデルを作成しパースを作成することで意思決定が円滑化した例の一つ。レンダリングはAutodesk Revit Architectureに標準で付属しているmental ray。



IPD(インテグレーテッド プロジェクト デリバリー)センターの設立とBIMの推進

そしてさらにBIMによる業務改善を加速すべくIPDセンターなる部門を設け、各プロジェクトにおける諸問題の解決に努めています。このIPDにも「美保テクノス」のブランド戦略的要素が含まれています。

同社におけるIPDの定義とは、Autodesk Revitという道具を使い、BIMという手法をとって、プラットフォームであるIPDに各スペシャリストの技術を落としこんでゆくというもの。こうしたIPDの思想により、各部門の意思や動向が不透明だった従来の建設業界のあり方から、全面的な"見える化"を推し進めて、整合性の高い共同体を目指すものとしています。

同部門には現在、新田氏が在籍する設計室の室長、そして新田氏が在籍(兼務)し、他にも建築部の工事長、専属の女性スタッフが参加しています。IPDセンターは同社におけるソリューション的な役割を担い、部門間連携の中心としてスペシャリストのノウハウを集約させる機能を持ちます。

「弊社のIPDセンターは、現在、設計室と建築部のスタッフによって構成されていますが、将来的には営業部門、土木部門、リフォーム部門、維持部門などのスペシャリストを参加させ、最終的には下請け、サブコン、施主までを加えて、プロジェクト全域に及ぶ問題解決に努めて行こうと考えています」(新田氏)


同社におけるIPDの概念図。各分野の専門家たちの技術をBIMというプラットフォームによって統合し、お客様に提供することを目的としている。

BIMを商品化し、差別化を図る

同社は設計施工に関連するBIMのソリューション機能を、今までにない新規事業、つまり「BIM」、「Autodesk Revit Architecture」、「IPD」を企業に貢献し得る新しい武器として、市場戦略の中のひとつにおいています。

「ゼネコンというのは本来、一般的な小売業のように販売する商品を在庫として持ち合わせたビジネスではありません。つまり、建設業界でいう商品とは、あくまでも受注生産品という形のない商品であり、それを販売する営業マンは、そこの部分に苦心してきました。しかし、BIMを商品として販売すべく営業マンにBIMの特性を完結にまとめた営業ツールを与えることによって、競合他社との間に優位性が生まれると考えています。」。(新田氏)

今後の展望

同社ではすでにBIMが施主に対して充分なメリットを与えられるシステムであるということが実証されている状態。今後は施工部門や現場に携わる人間に対して、どのようなアプローチで貢献できるかが今後の新たな課題といいます。
「現在はIPDセンターとして現場に乗り込んでプレゼンテーションの支援をしたり、設計担当者と現場に携わる人たちとのイメージの違いをすり合わせるため、図面をビジュアル化して提示したり、後方支援的な活動を実践しています。将来的には施工部のサポートや、設計的に鉄筋が集中するような収まりにくい箇所を3次元化して検証するなどのサポートも視野に入れて行こうと考えています。これまでの施工経験から施主に対するBIMの優位性は充分に検証できたと思うので、今後は施工に関する理論問題解決や、環境解析に取り組んでゆきたいと考えています」

技術担当者への普及は当然のこととしながらも、これからは、クライアントサイドがBIMを要求する市場になることを期待するという新田氏。そのためには、大手ゼネコンや大手設計事務所が積極的にBIMを使用して、そのメリットを市場に訴求してゆく必要性があるとしています。
「BIMを導入している企業と導入していない企業とでは、今後、業界における地位に歴然とした差が生まれるでしょう」(新田氏)
日本の建築業界に新たな風を吹き込む美保テクノス。BIMの力を確信し、さらなる変革を遂げていくことは間違いありません。

プロジェクトプロフィール

プロジェクト名:いきいきケアホーム境港イーストコート
用途:有料老人ホーム
規模:S造3階建
敷地面積:3691.25m²
延床面積:1728.48m²
工期:2008年6月20日から2008年11月1日
所在地:鳥取県境港市

ギャラリー


会社プロフィール

名称:美保テクノス株式会社
所在地:鳥取県米子市昭和町25番地
代表者:代表取締役 野津 一成
創業:昭和33年7月30日
資本金:1億円
事業概要:
1. 土木・建築に関する工事の施工及び測量・企画・調査・設計・監理並びにコンサルタント業務
2. 建設機械のリース業務
3. 砂利・砕石の採取及び販売を行う業務
4. 宅地造成及び分譲に関する企画・調査・設計・監理
5. 不動産の売買・賃貸借・仲介・管理
6. コンピュータソフトウェアの研究開発、販売及びプログラム設計技術者の派遣業務
7. 太陽光・風力発電等の自然エネルギー機器の販売及び取り付け、施工業務
8. 損害保険代理業務

【導入製品/ソリューション】
Autodesk - AutoCAD Revit Architecture Suite

【導入目的】
企業戦略としての差別化

【導入効果】
設計品質の向上
IPDセンターの設立による部門間のコミュニケーションの加速
施工主へのプレゼンテーションの質の向上と顧客満足の向上。リピート化。

【今後の展開】
施行部門との連携。BIMモデルを用いた干渉チェックの実施。

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