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事例:株式会社安井建築設計事務所

株式会社安井建築設計事務所/導入事例

3次元建築CAD導入でBIM戦略を加速。
"付加価値創造型の建築設計事務所"をめざす。

安井建築設計事務所メインイメージ

BIM:技術はクリア、思想に関心

安井建築設計事務所は早くからBIM を導入し、日本国内でも先進的な取り組みを行っている企業です。

佐野氏「社内利用ではすでに、企画提案や基本設計での活用はほぼ完成の域に達しています。2年以内にはほとんどの実施設計で使えるようにする計画です」と代表取締役社長の佐野吉彦氏は語っています。

安井建築設計事務所にとって、Autodesk Revit の導入は、紙の製図を 2 次元 CAD に切り替えたときよりハードルが低かったといいます。2005 年春に「Autodesk Revit Building (Autodesk Revit Architecture の旧製品名)」をテスト導入し、2006 年には BIM 対応の 3 次元 CAD「Autodesk Revit Architecture」を導入。2008年 10月には、設計者の 9 割以上に対する講習を完了させました。

安井建築設計事務所でも、従来は建築主やプロジェクト関係者に複雑な設計内容を理解してもらうために多くの努力と工夫をしてきましたが、2次元図面と限られたイメージパースによる説明では限界があったといいます。さらに建築基準法改正や、社会情勢の変化に伴う設計検討要素の多様化などによって、作成する設計図書や検討資料は年々増加しており、限られた設計期間の中で対応することが大変難しくなっています。

このように複雑化するプロジェクトの効率的な遂行や厳格化された確認申請への対応などが求められる中、安井建築設計事務所ではBIMの考え方を取り入れた改訂設計監理プロセスに再構築することで、上記のような状況を克服する糸口を掴み、高品質で効率的な設計を実現しつつあります。

「3 次元 CAD がリアルなパースを作るためのツールとして考えられていたのは昔の話。いまでは建設プロセスを統合し、業務全体の効率化を図るために、経営者が積極的に関与し、導入を指揮していく設計、施工の基幹システムという性格に変わりつつあるのです」(佐野氏)

Autodesk Revitの活用で"付加価値創造型"のビジネスを

BIMの導入による効果は付加価値の創造――。
安井建築設計事務所はBIM の導入によって、建築の専門家でない顧客と3 次元画像を見ながら話を進められるようにすることが、より深い信頼関係の構築に結びつくと期待しています。

「世の中には安ければ売れる商品もありますが、建築は単なるハコではありません。顧客に夢を持ってもらえたり、安心を感じてもらえたりできれば、その部分こそわれわれの付加価値になるはずです」(佐野氏)

また、オフィスや商業施設、工場などを建てる顧客は、建築を「利益を生むための手段」であると考える傾向があります。こうした顧客に対して BIM のデータを提示すれば、建設時に顧客が建築物から利益を生み出せるかどうかを詳細に検討することができます。

さらに、BIMモデル は建物が存在する限り継続的にバージョンアップを繰り返すため、顧客の戦略に応じてメンテナンスしていくことも可能です。

「BIM は、建築設計事務所の仕事を単発的なものから継続的なものへと変化させるものでもあるのです。一度つかんだ顧客を放さず、建設後の接触の過程で、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性も出てくるでしょう」(佐野氏)

フロントローディングに最適

2008年の建築基準法の改正もあり、設計事務所は、確認申請の時点で徹底的に絞り込んだ設計をまとめきる「フロントローディング」を重視するようになりました。安井建築設計事務所では、BIM を使って設計プロセスを短期化し、また環境解析ツールとの連携による数値的なデザインの裏づけなど、早期から顧客との合意と設計図書の整合性を確保することで、フロントローディングの実現にむけてBIMの検証と推進を進めていると言います。

安井建築設計事務所が掲げるフロントローディングのイメージ
安井建築設計事務所が掲げるフロントローディングのイメージ

建築が複雑化するにつれて、それをチェックする役所側にも高度な建築知識が要求されるようになったいま、3 次元によるわかりやすさは大きな魅力になります。実際に、米国では米国政府調達庁(GSA)が 3 次元モデルによって設計データを提出することが義務づけられることになるなど、海外では 3 次元モデルによる設計の意思疎通は広がりを見せています。

安井建築設計事務所では、設計初期から連続的にBIMを活用することで、設計業務がより高度な知的生産業務になることを期待するとともに、近い将来には建築主が保有する施設を3Dデータで効率よく維持管理できるBIM活用を展開したいと考えています。

事例プロジェクトプロフィール

プロジェクト名:城南学園第二学舎
用途:学校
規模:地上5階
敷地面積:1,657m²
延床面積:3,303m²
竣工:2008年2月
所在地:大阪市東住吉区照ヶ丘

ギャラリー

会社プロフィール

株式会社安井建築設計事務所
本 社:大阪府大阪市中央区島町 2-4-7
代表者:代表取締役社長 佐野 吉彦
設 立:1951 年 1 月 16 日(創設:1924 年 4 月 1 日)
資本金:8,000 万円
従業員数:298 人(2008年4月現在)
事業概要:建築の設計監理、土木の設計監理、都市の設計管理、マネジメント・コンサルタント業務、コンピュータ業務 他
1924年創設の組織建築設計事務所。2007年から設計プロセス改訂を行い、品質向上を目標としてBIMの本格活用を開始。代表作品として「サントリーホール」(1986年)、「東京国立博物館 平成館」(1999年)、「東京汐留ビルディング」(2005年)など。
URL:http://www.yasui-archi.co.jp/

【導入製品/ソリューション】
Autodesk Revit Architecture

【導入目的】
BIMアプローチへの対応
建設プロセスの効率化

【導入効果】
企画提案や基本設計でのBIM活用
設計イメージの正確な伝達と意匠設計情報の整合性の確保
BIMモデルを活用したCGパース制作フローの確立による、製作期間の短縮と経費削減
基本設計前半段階での早期意思決定
実施設計図書作成の効率化

【今後の展開】
設計初期から連続的にBIMを活用することで、設計業務がより高度な知的生産業務となる
建築主が保有する既存施設を効率よく維持管理できるようにBIMを活用する

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